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「ノーマ」はなぜ世界一のレストランになったのか?

「ノーマ」は、2003年、本国・デンマークの人々の価値観を美食で変えた革命児、レネ・レゼピと元共同経営者クラウス・マイヤーによって、デンマーク・コペンハーゲンにオープンしたわずか12卓、45席のレストラン。オープン当初は、「北欧の材料だけを使うなんて不可能だ」「アザラシ野郎」などとバカにされ、飲食業界から総スカンを食らう。「時間」と「場所」を感じさせる料理というコンセプトを定めてからは、「ノーマ」に貢献する生産者たちからの協力も後押しし、2008年には仏ミシュランで2つ星を獲得。2010年から2012年、2014年とこれまでに「世界ベストレストラン50」で4度も1位に輝き、“世界一のレストラン”と評される。北欧産の食材だけを使うことにこだわる「ノーマ」では、色とりどりの花や生きた海老、蟻までもが提供される。この自然と命が息づく革新的かつ独創的なスタイルは、美食とは無縁の土地柄とされてきた北欧料理の世界に新しい潮流を生み出し、世界中の人々を虜にした。また、年間に用意できる2万席に対し世界中から100万件以上の予約応募がある「ノーマ」は、デンマークの飲食業界の枠を超え、自国に大きな経済効果(観光客の11%増加)をもたらしたと言われている。

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まるごと出張レストランで、東京に革命を巻き起こす!

2015年1月にはコペンハーゲンの本店を休業し、皿洗いからシェフまで約70名のスタッフを総動員して来日。期間限定で東京に出張レストランとして「ノーマ・アット・マンダリン・オリエンタル・東京」を出店した。7万円近い高価なメニューにもかかわらず、期間中に用意できる約2千席に対して世界各国の美食家からの応募が殺到し、6万人以上がウェイティングリストに名を連ねたことで大きな話題を呼んだ。半年間かけて日本各地を巡り、ボタンエビに長野県の森林で採取した蟻を散らしたメニュー「長野の森香るボタンエビ」をはじめ、本国と同じクオリティの料理とサービスを振る舞ったことも記憶に新しい。器のコーディネートは、スタイリストであり「ARTS& SCIENCE」のオーナー、ソニア・パーク氏が担当した。時を同じくして、「エル・ブリ」や「ノーマ」で修行したシェフ・橋本宏一氏がレストラン「セララバアド」(東京)をオープンするほか、「ノーマ」のDNAが日本でも根付き始めていることがわかる。

2017年から再始動する、「ノーマ」の第一歩

2016年1月には、オーストラリア・シドニーにて期間限定で出張店舗をオープン。東京出店と同じく、開始から数分で定員に達した予約サイトはウェイティングリスト専用と化している。年末にかけて本国の「ノーマ」は一旦閉店となるが、2017年には自ら家畜や農作物を育て食材とする「都市農園」として再オープンすることが発表された。コペンハーゲン中心部にあるヒッピーたちの自治地区、クリスティアニア近くの倉庫に居を構えることになる新農園は、屋上に温室を設け、農園の一部を水に浮かばせる計画も。旬を一層取り入れたレストランも併設。さらなる進化を遂げる「ノーマ」の今後からも目が離せない。

世界ベストレストラン50(The World's 50 Best Restaurants)とは

英国のウィリアム・リード・ビジネス・メディア社が2002年に設立した世界的なレストランアワード。年に一回、各国の食の専門家や評論家など930余名の評議委員の投票数により、世界中のレストランの中から選ばれた50店をランキングで発表する。1位のレストランには年間200万件ものアクセスが集中し、ランキングが料理業界だけでなく、観光を含む国の経済効果にも大きく影響するといわれる。現在、世界の若手シェフたちの間では「ミシュランより世界ベストレストラン50を狙いたい」という声も多い。